TCFD提言への対応

当社は、「最先端の優れた医療機器の開発と販売を通じて、医療に貢献する」という経営理念のもと、長期的な視点でマテリアリティ(重要課題)を特定し、ESG活動を通して企業の社会的責任(CSR)を果たすと共に、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献すると同時に持続的成長を追求してまいります。

また、当社は、気候変動への対応もマテリアリティの一つとして捉え、2022年3⽉にTCFD※の提言に賛同を表明するとともに、同提⾔に賛同する企業や⾦融機関等からなる TCFD コンソーシアム※へ参画いたしました。気候変動に真摯に向き合い、事業に影響する機会・リスクへの理解を深化させ、その取り組みの積極的な開示に努めてまいります。なお、TCFD提言では、気候変動に関する「1.ガバナンス、2.戦略、3.リスク管理、4.指標と目標」の各項目に関する情報開示が推奨されています。当社は、シナリオ分析、気候変動に伴うリスクと機会を評価し、TCFD提言に従い4つの開示推奨項目に沿った情報を開示してまいります。

※1 TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)
Task Force on Climate-related Financial Disclosures. 金融安定理事会(FSB)により設立されたタスクフォース。
気候変動がもたらすリスクおよび機会の財務的影を把握し開示することを目的として、自主的な情報開示のあり方に関する提言を公表している。
TCFD ウェブサイト:https://www.fsb-tcfd.org/

※2 TCFD コンソーシアム
企業の効果的な情報開⽰や、開⽰された情報を⾦融機関等の適切な投資判断につなげる取組みについて議論する場として、2019 年に設⽴。TCFD 提⾔に賛同する企業や⾦融機関等が取組みを推進。2022 年 3 ⽉25⽇時点で 570 団体が参画している。
TCFD コンソーシアムウェブサイト:https://tcfd-consortium.jp

1.ガバナンス

当社の取締役会は、サステナビリティを巡る課題(気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など)への対応が、当社の事業リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要なマテリアリティ(重要課題)であると認識し、その対応に責任を持ちます。なお、TCFDへの対応については、サステビリティ委員会※での協議・評価を経て年2回取締役会へ報告され、取締役会は委員会からの報告に基づき承認・監督・指導を行う体制としています。

※サステビリティ委員会:
社長執行役員が委員長を務め、執行役員、サステビリティ推進室長及び委員長が指名する者を委員とし、サステビリティ推進室が事務局となり年2回以上開催することとしています。

サステビリティマネジメント体制

2.戦略

① シナリオ分析

当社は、シナリオ分析の手法を用いて、移行・物理それぞれにおける気候変動関連のリスクと機会を特定しています。シナリオ分析では、IEA(国際エネルギー機関)等が公表する「シナリオ」を用いて、事業にどのような影響を及ぼすかを検討しました。今回実施したシナリオ分析は、国内(当社単体)の製品及びサービスの輸入、開発、製造、販売までのバリューチェーン全体を対象とし、4℃シナリオ、1.5℃シナリオの2つのシナリオを用いて、2030年時点における影響を考察・検討しております。今後、海外(関係会社)にも分析を広げ、継続してシナリオ分析を実施することでその精度を高めてまいります。また、審議結果は取締役会へ報告の上、不確実な将来に向けたレジリエンスを高めてまいります。

【 4℃シナリオ 】
気温上昇が4℃を超え、気候変動の
影響が顕在化した場合
【 1.5℃シナリオ 】
気温上昇が1.5℃以下に抑えられ、
世界全体が低炭素社会へ移行した場合
シナリオ分析 低炭素化を推進する政策や規制が限定的にしか実施されないことで地球温暖化が進行し、平均気温が上昇することで、熱ストレスによる当社の労働環境悪化が見込まれます。また、気温上昇に伴う感染症の蔓延により急性疾患の手術が優先的に行われ、人工関節置換や脊椎固定の慢性疾患手術が延期もしくは中止されてしまい、当社の製品売上が減少する可能性があることを認識しております。 脱炭素や低炭素を念頭においた経済活動が活発化し、世の中が規律型社会へと変革することが見込まれます。それに伴い、規制強化が生み出す炭素税導入、また市場の環境配慮志向が強まり、循環型社会を目指した環境配慮素材の利用が求められ、それらの対応コストが増幅すると予測されます。当社としては、脱炭素を推進する政府からの情報を迅速に入手し、省エネ・再エネへの投資を強化するほか、顧客等のサステナブル志向に合致した施策を実行することで循環型社会に貢献したいと考えております。
② 気候変動に伴うリスクと機会

対象範囲 : 国内のみ(当社単体)
時  期 : 短期(1年以内)、中期(1年超から3年以内)、長期(3年超)
影 響 度 : 小(0.5億円以内)、中(0.5億円超~2億円)、大(2億円超)

分類 内容 時期 影響度 対応方針
リ ス ク 移 行 政策規制

炭素税の導入によるエネルギーコスト・調達コストが増加するリスク

中期

エネルギー効率の継続的な改善

再生可能エネルギー導入

関係する法規制等の遵守

環境データの積極的な開示

環境に配慮した製品開発等

BCP(事業継続計画)対策強化

定期的なリスク・機会の見直し

GHG削減規制の強化に伴う設備のリプレイス等による設備投資コストが発生するリスク

短期
~長期
評 判

気候変動対応に関する情報開示の遅れによって株価への影響が発生するリスク

短期
~中期
物 理 急 性

自然災害による建物・設備・在庫への被害、操業停止及びサプライチェーンの寸断により物流遅延や機会損失が発生するリスク

短期
慢 性

気温上昇による感染症の増加に伴い、医療体制の機能が低下・停滞し売上が減少するリスク

中期
~長期
機 会 資源効率

エネルギー効率向上によるコスト削減

短期
~長期
評 判

積極的な情報開示による企業価値向上

短期
~中期
製品・サービス

商品センターサテライト化(物流リードタイム短縮)による需要拡大

短期
~長期

環境負荷低減に貢献する製品・医療工具などの提供等

長期
レジリエンス

在庫品の分散保管による製品供給の安定化

短期
~長期

3.リスク管理

当社では、リスク管理規程に基づいて、リスク管理委員会の活動推進により、経営重点リスクを管理しています。気候変動のリスクについても、経営重点リスクに位置づけ、リスク分析を行っています。サステビリティ委員会は、下部組織であるリスク管理委員会及びコンプライアンス委員会と連携し、サステナビリティに関するリスクの把握と適切な対応を審議し年2回取締役会に報告します。取締役会は、サステナビリティ委員会からのリスク管理の状況と対応について報告を受け、監督・指導を行います。

4.指標と目標

当社は、気候変動における指標を温室効果ガス(GHG)の排出量と定め、2020年度のスコープ1、2におけるGHG排出量を基準とし、国内における2030年度の削減目標を2020年度比30%削減、2050年度には「GHG排出量ゼロ」にすることを目標として掲げています。

(国内)スコープ1.2 GHG排出量:t-CO₂

国内の各拠点における省エネ推進、再生可能エネルギー由来の電力調達、電気自動車の段階的導入など、GHG排出削減の取組みを計画的に実行し2050年のGHG排出量ゼロを目指します。

(国内)スコープ1.2.3 GHG排出量実績:t-CO₂

スコープ1 スコープ2 スコープ3 合計
2020年(基準年) 1,111 210 7,440 8,761

(国内)スコープ3

(※1)スコープ3:カテゴリー別実績:t-CO₂
①購入した製品・サービス 2,439 32.8%
②資本財 2,432 32.7%
③燃料・エネルギー関連活動 299 4.0%
④輸送、配送(上流) 1,355 18.2%
⑤事業から出る廃棄物 8 0.1%
⑥出張 798 10.7%
⑦雇用者の通勤 42 0.6%
⑧リース資産(上流) ※2
⑨輸送、配送(下流) 65 0.9%
⑩販売した製品の加工 ※2
⑪販売した製品の使用 ※2
⑫販売した製品の廃棄 1 0.0%
⑬リース資産(下流) ※2
⑭フランチャイズ ※2
⑮投資 ※2
合計 7,440 100.0%

(※2)⑧⑩⑪⑬⑭⑮は該当がないため算出しておりません。

(注)TCFDの枠組みに基づく各記載は国内(当社単体ベース)のみの情報です。海外(関係会社)を含んだ連結ベースの情報開示は準備が整い次第速やかに実施してまいります。

プロダクトポートフォリオマネジメント

導入製品の評価(医療機器事業)

最適な経営資源の分配を実現するため、製品の成長性と資本収益性の2軸で構成されるプロダクトポートフォリオのフレームワークを定め、導入した各製品の成長力と稼ぐ力(フリーキャッシュフローの創出)を、医療事業の社会的責任も考慮のうえ総合的に評価し、成長加速、非注力製品の特定などの経営判断を適切かつ迅速に行います。

投資促進領域

当社の中核を担う製品群。成長と稼ぐ力を牽引しているため、投資を継続し成長を維持しつつ更に稼ぐ力を高めていく領域。

再成長構築領域

主に成熟製品群。大きな成長は見込めないものの安定収益を維持しているため、コスト削減の徹底などによって安定的に稼ぐ力を維持させる領域。

育成領域

主に新規導入製品群。販売の初期段階にあって成長力は高いが、稼ぐ力はいまだ低いため、施策や投資などによって稼ぐ力を高めていく領域。

見極め領域

低成長・低収益製品群。変革が求められる一方で、撤退(販売中止)の見極めも必要な領域。